日本伝統野菜の使い方と剥き物をプロが教えます
日本料理で冬の鉄板食材のひとつと言えば「かぶら」ですね
ここドイツベルリンのスーパーやマーケットでもごくごく一般的な食材になってきました
ヨーロッパでは「かぶら」より「コールラビ」の方が出回り量、知名度、使用頻度において軍配が上がっているのは言うまでもありません
どちらの食材も魅力なのですが日本料理なので「かぶら」贔屓の記事にします!
この記事では2種類の剥き方とその後の使い方(炊き方)を写真をふまえてわかりやすく解説します
かなり剥く時間をかけた、ひと手間料理で周りから一目置かれましょう
そして、お節料理などで見かける「菊花切りかぶら」も同じくして裏技と共に紹介します
かぶらの種類と有名料理
学名は「Brassica rapa」英名「Turnip」 フランス語で「Navet」
ドイツでは「Mairübchn」や「Rübe」などとも書いてあります
今回私の言うかぶらは「小かぶら」を中心に料理説明とします
そもそも日本の在来種で種類は現在は30種以上にもなり、ブランド名で言うと
赤かぶら類
などが知られています、最少上から5種くらいは覚えておきましょう
他にもまだまだ沢山の種類がありますね
また、日本料理の代表メニューといえば、関西なので「甘鯛のかぶら蒸し」が最上と考えます
他には京都の料理の「鯛かぶら煮」をはじめ煮炊き物に多く使われています
特にかぶらと魚の組み合わせは、栄養的にも素晴らしいバランスを発揮し低カロリーでありながら、ビタミンC、ビタミンK、カリウム、食物繊維、抗酸化物質を豊富に含んでいます
これに対し、魚は高品質のたんぱく質、オメガ-3脂肪酸、ビタミンDをも加えることで体に必要な栄養素を摂取するのに非常に適しています、野菜の旨みが魚の出汁と調和し、深い味わいを楽しむことができます
生・焼き・煮・揚げ・蒸しと五法によって異なる表現ができるので非常に幅広く活躍する食材
好みの大きさに切り出して塩を軽く振って炭火焼きしただけでも甘味が強いので素直に美味しさが感じられます、天ぷらにして塩で勧めても同じく、新たな食感で面白いです
このほかは超有名な「漬物系」料理に全部持っていかれます
毎年時期になると京都聖護院かぶらの千枚漬けのニュースが流れ、風物詩の一つになっています
もう一つ紹介したいのが石川県の郷土料理「かぶら鮨」です
こちらも11月ごろの収穫時期に作られるので冬季しか食べることができません
そして、お寿司の元になった料理とも言われており知る人ぞ知る逸品、これには青かぶらという品種が使われており豊かな漁場で取れる鰤と米麹を合わせたなれずしです
旨味の凝縮とはこのことです、一度本場でぜひご賞味してみてください
現代のお寿司の元になったとも言われる郷土料理です!
牡丹菊のかぶら剥き
大きさにもよりますが80〜100g程度の大きさが1人前サイズになるので皮剥きでサイズを切り揃えましょう
八方剥きや丸剥きどちらでもOKです
打ち抜きなどでヘタの部分を印して、彫刻刀、小刀を使って切り出していきましょう
4弁から始めてもいいですが、この大きさなので最初は6弁で仕上げます
彫刻刀で6箇所窪みを入れて縦に花弁の形に刃を入れて、その周りを斜めに切り出します
最初はなるべく小さく、同じサイズになるよう意識してください
2段目に進めます、花びらの間を取って同じようにVにいれて先と同じ要領で一周します
この後も間、間を順に切り出して段ごとに花びらを大きくしていきます、4段目くらいまでは同じようにします
4段目になると間が広くなってくる(上の写真赤矢印)のでここから花びらが2倍になります
順に仕上げて完成です、花びら約50弁の菊花かぶらです
ひとつひとつに丸みを持たせても、可愛い菊花になります、いろいろ工夫してみてください
かむろ菊花かぶら剥き
「禿=かむろ」という馴染みのない言葉がきました
禿げの一般的な読み「ハゲ」の別読みでかむろとも読みます、これは日本人形の子供ような、おかっぱ頭でツルッとした髪艶の事という意味でも使われます,次は同じ菊花かぶらでもかむろの剥き方を
このように簡略して、数の多い時などに対応することができます
天井部に十字①の目印を入れて、V字に取ります②、この真ん中くらいを狙って同じくV字③
この後は先のようにV字切り込みを交互に入れて仕上げていきます
ポイントとしては上部は小さめで下に向かって、切り込みを少しづつ大きくしていくとさらにメリハリができ、花らしさを表現できます
途中わからなくなってきたら写真⑥の盛り上がり箇所を探してください、並行ではなくずらしましょう
⑦全体バランスを見て、包丁の入りそうなところが無いか確認
⑧大丈夫ですね、時間にして2分ほどで完成です、効率が良いです
炊き方(菊花蕪の豚肉鋳込み 菊花餡掛け)
ほとんどの菊花蕪に何かしら鋳込んで炊きます、クリ抜き、丸の型などで丁寧にいきましょう
②押しすぎて花びらが潰れないように手に持ってくださいね
④昆布出汁で戻していきます、8分目くらいの火の入りに止めておきます
丘上げしておき、余分な水分を飛ばします
⑤葛粉や片栗粉を打って中身を詰めましょう
今回はドイツなので豚肉鋳込みです😁
味がはっきりしているのでこちらの人(ドイツ)には良いかと考えます
鶏ミンチ、鴨ミンチ、海老の叩き身など色々あります、献立によって採用しましょう
(ミンチに蓮根の荒みじんや軟骨系なんかを入れる場合が多いです、食感を加えて楽しんでもらえます)
キッチンペーパーなどで詰めた底面が平らになるように敷いて、10〜15分蒸しあげます
仕込み用なら蒸した後出汁に落として保存します
かぶらの白色を損なわないように、なるべく醤油は使わず塩と味醂のみで味を整えます
そしてかぶらは塩の使い方で甘味が返ってくるポテンシャルの高い食材なのです!
④の昆布出汁に花かつおを加えて出汁を取ります⑦
⑧菊にちなんで、今回は食用菊で菊花餡にしました
⑨彩の紅葉とかぶらの軸を添えて完成です
定番ですが剥き方を変えるだけで見た目が違います!振り柚子や山葵添えでも美味しいです😋
特に分量など記載していませんが、豚ミンチのしっかりとした味付けと薄口醤油と味醂の12杯餡で十分です、柚子、山葵もあるので香りの面でもこれで良いです!
かぶら自身の香りと甘みを出すには「塩」の使い方が大切です、昆布と塩で上手にかぶら自身の甘みを引き出してください!!
菊花かぶらの甘酢漬
お正月も迫ってきたのでこちらも合わせて紹介です
大きさにもよりますが一般的な「中」サイズなら皮を剥いて、厚さ2cm目安で横半分にします
(皮は漬物にできるので置いておきましょうね)
割箸を上下に配置させて、切り込みを入れましょうポイントとしては細かさよりも等間隔を意識することで最終の完成形が美しくなります、間隔1,5mm
(これが結構難しいと思います)
縦の包丁ができたら90度回して格子状に切り込みを入れます「X」にならないようにしましょう
切り出しが終わったら大きさを先に決めます、1/4か1/2に分けますが、花弁のところが取れてしまうので裏側から切り分けて塩水につけて一段階の終了です
- 水 500cc
- 塩 13g(3%までにしましょう)
- 昆布 1枚(あればより良いです)
量にもよりますが1時間も漬ければOKです
ザルに取り上げ、優しく絞ります、キツくすると花びらの所が細いので切れてしまいます
手間をかけた料理ですので最後まで丁寧に行きましょう
- 出汁昆布 20g
- 水 360cc
- 穀物酢 150cc
- 上白糖 100g
- 鷹の爪輪切り 少量
甘酢を作りましょう、一度沸かしてから、5を加えます
一晩つけて完成、食べれるくらい浸かっています
さて、かぶらの白さを活かして、輪切りの鷹の爪や枸杞の実の紅を飾ることで華やかになる「菊花かぶら」ですがさらに白く仕上げるために「大根のヘタ」を一緒に漬け込みましょう
大根には「ジアスターゼ」と言われる酵素があるので、それが天然の漂白効果をもたらしてくれます、お掃除の裏技としては知られたことかもしれませんが食材同士にも当然有効です、お節料理の時期に活躍する仕事なので是非やってみましょう
先人の知恵に感謝、おやっさんありがとうございます!!
かぶら皮と葉と茎の漬物、菜飯和え+おまけ
さて、料理屋さんでこれらの食材の二次加工をして使い切ります
添えの漬物と混ぜご飯で菜飯の処理をお教えします、①の皮を刻んで塩を当てます
軸の部分は青臭さを取るためにサッと湯に潜らせます
④535gなので2、5%を計算
13、、、14gでいきましょう→⑤全体にまぶして置いておきます
⑦軸、⑧葉、それぞれ刻みよく絞って先の皮と合わせます→⑨
この分の塩は不要ですがその代わりに湯通しをしているのでよく絞って合わせてください
⑩1時間もすれば水分が出てきます→これを更に
11、絞って一方は漬物用
12、もう一方は胡麻油で炒めて醤油で味を整え、白胡麻を合わせて冷まして完成です
(冷蔵庫で4日程は保存できます)
漬物は塩昆布や味の素、一味唐辛子を合わせて冷蔵庫でひと晩おくと漬物として使えます
(1週間弱保存可能)
「おまけ」
軸で唐草飾りもできるのでお造りの添え物や前菜の色味にも使えます
なるべく根本の太い所を取っておきます
斜めに細かく包丁し、水に放つと20分もすれば勝手に巻いてくるので、水留めで置いておけます
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